<カーリーの巻>

不死をのぞむ魔人マヒシャ・アスラ(阿修羅の語源はアスラ)が長い苦行の末、満願のときがやってきた。
創造神のブラフマー(梵天)が顕れて、魔人に訊ねた。

「願いはなんやて?」

「永遠の生命がほしい」

「そりゃーあかんわ。生命あるもんは、なんぴとたりとも死を免れることはできへんのや!」

そこで魔人は考えた。

「それなら・・・俺の生は、おんななるもの、によって閉ざされたい」

「まっ、えーやろ。オッケーオッケー!」

創造神は去った。

魔人マヒシャは喜んだ。彼は女をみくびっていた。自分がかよわい女などに殺されるわけがないのだ。これで不死になったも当然だ。 実際、彼は強大だった。配下の悪魔をひきつれて出撃し、神々の勢力を一掃した。

世界の片隅に追いやられた神々は、大神シバに魔人マヒシャの権力をくじくように懇願した。 しかし、シバもマヒシャを負かすことはできなかった。

旦那シバの危機を見かねて、カミさんのパールバァーティーが出撃した。

旦那に三叉戟、ヴィシュヌからは円盤、アグニからは槍を借り、女神ドゥルガーと化して魔人マヒシャに挑んだ。・・・だが、相手はせせ笑い、余裕をもって攻撃 をかわす。
仕方がなかった。女神は山々の頂に足を載せ、美しいサリーを裾をたくし上げた。真っ白い女神の股間から紅色の花が艶やかに輝いた。
その魅力的な光景は、魔人マヒシャの目を奪った。怪物は金縛りになった。
女神その隙を見逃さなかった。 旦那の三叉戟で相手を串刺し、曲刀でマヒシャの首刎ね飛ばした・・・
悪魔は運命を成就し滅びた。

が、平和は戻らなかった。それ以上の悪夢が襲った。女神は奥の手とはいえ、 醜い怪物に己の秘所(ヨーニ)を見られた羞恥に耐えかね、真っ黒になり カーリー神となったのだ。そして、出会うものすべてを殺し、破壊しながら世界を歩きまわった。

旦那のシバは、世界を救うために、道端に屍体のように横たわった。女神は怒りのあまり旦那ともしらず屍体を踏みつけた。
その瞬間、シバの男根(リンガ)は槍のように伸び、女神の秘所を貫いた。
驚いた女神は我に返り、それが旦那のものであることに気づいた。そして激しい快感に痺れながら、気高く微笑んだ。その貌は、カーリー神の憤怒の表 情から、優しく穏やかなパールバァーティーのそれに戻っていた。
-参考文献-
伊藤武著「こころを鍛えるインド」(講談社)


シバ神を、ドラック&ドロップをして
カーリー神の怒りを鎮めよう!
パールバァーティーに変わります